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いろはな

昨年5月に新しいスタッフを迎え、なんとか5年目を迎えられました。

状況が落ち着いたら新しいスタッフを募集しようと、施設の改修を少しずつ進めています。

 

そうこうする間にも、世の中の動物に対する見方はどんどん変化していき、動愛法はよりアニマルウェルフェアを重視したものに変わりつつあるようです。

動物への体罰はもちろん、精神的な恐怖を与えることも受け入れられなくなってきました。

この傾向が、日常的な飼主との暮らしだけでなく、トリミングや獣医療の現場にも広がって行く気配を感じています。

 

昨年夏に出版されたグレゴリー・バーンズ著『イヌは何を考えているのか』(化学同人)の最終章「イヌの実験」には、2011年からバーンズ氏が行っているMRIによる脳研究のドッグ・プロジェクトにおける3つの原則が紹介されています。

 

1. イヌに危害を加えず、報酬だけで訓練し、いかなる苦痛も与えない。

2. イヌを拘束しない。鎮静剤も使わない。

3. イヌに自己決定権を与える。つまり拒否権を持たせる。

 

科学実験の世界では異端とのことですが、いずれは当然のことになっていくのだと思います。

犬との日常の暮らしの中で、犬と人がフェアな関係を築く上で欠かせない要素です。

 

 

僕は家庭犬インストラクターとして、犬と人が楽しく暮らすためのお手伝いをしています。

犬との細やかなコミュニケーションを心がけながら、好ましい行動を犬に教えたり、その方法を飼主に伝え、過度なストレスの軽減のために環境を整えるなどのアドバイスを行なっています。

 

こういった知識や技術は、家庭犬インストラクターの専門分野ではなく、犬と接する全ての人が持つべき基礎であるべきだと思います。

トリマーは、グルーミングだけでなく、犬にそれを受け入れてもらうためのエクササイズを飼主とともに行い、

獣医師や動物看護師は病気の予防や治療だけでなく、犬が恐怖を感じることなくそれを受け入れられるためのエクササイズを飼主とともに行う、そんな世の中になって欲しいと願っています。

 

その時、われわれ家庭犬インストラクターは、どんな役割を担えるのでしょうか?